Japanese
English
実践講座 神経発達症の診療・2
自閉スペクトラム症—ASDの評価・診断
Autism spectrum disorder: clinical evaluation and diagnostic process
神尾 陽子
1
Yoko Kamio
1
1医療法人社団神尾陽子記念会発達障害クリニック
1Autism and Developmental Disorders Clinic
キーワード:
自閉スペクトラム症
,
ASD
,
診断
,
アセスメント
,
DSM-5
Keyword:
自閉スペクトラム症
,
ASD
,
診断
,
アセスメント
,
DSM-5
pp.981-987
発行日 2022年8月10日
Published Date 2022/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202588
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近年,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の診断数が増加している1).診断数の増加は真のASDの増加ではないが,臨床現場での診断行為の変化および医療ニーズの増加を反映していると考えるのが妥当であろう.その背景には,研究エビデンスに基づく自閉症概念の変化,そして発達障害施策が進んでいることが関係している.発達障害全般に関する社会の認知が高まり,特別支援教育や福祉の支援サービスを拡充させる施策が次々と打ち出されている.
とはいえ,ASDや発達障害の評価・診断には複雑な手順があり,経験と専門知識を要するのは事実である.また医師,心理士,言語聴覚士,作業療法士など多職種の専門職チームでの評価が望ましい.こうしたことから,これまで診断は専門機関に集中しがちで,そのため長い診断待機を生み,機能が十分果たせなくなっている.しかしながら,ASDや発達障害の診断プロセスは一機関で完結すると考えず,地域全体で分担して行う一連の流れとして捉えると,もっと多くの医療関係者が関与できるだろう.また,そのことでASD児やその家族が診断を求めて迷子になることは減り,医療職にとっては診断プロセスの経験がASDや発達障害をもつ児への支援に前向きに取り組む助けとなるかもしれない.
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