慢性期の患者・家族とのコミュニケーション・12
当事者問題――医療者の当事者性
岡本 拓也
1
1洞爺温泉病院
pp.270-271
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103155
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今回は,医療者側の当事者性について考えてみたい.
医学・医療の進歩に伴い患者の当事者性が希薄化した結果,医療者は,選択・決定における単独の主体となっていった.しかも,医療における治療の選択肢が多様化し,治療によって治癒する可能性が出てくると同時に,治療や治療の失敗によって,死に至ったり,重篤な傷害を残したりする事態も出現してきた.古い時代には存在しなかったさまざまな選択肢があるなかで,ある治療法を選び,その結果が十分によくない場合には,責任を問われるようにもなる.治療法の選択・決定をし,何らかの治療行為を行ったり行わなかったりした医療者の責任を問う,という動きが出てくる.このような状況下で,医療者の荷が重くなってくるのは,必然である.医療者が,よかれと思ってしたことではあっても,結果が悪ければ責任を問われるという状況から逃げ出したくなる気持ちは,よく理解できる.ましてや,医療は不確実だ.100%うまくいくという保証はない.
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