みるトレ
Case 30
忽那 賢志
1
1国立国際医療研究センター感染症内科・国際感染症センター
pp.261-263
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102790
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Case 30
症例:30代,日本人男性.
現病歴:4年前からウガンダの首都であるカンパラで農業開発指導を行っていた.受診10日前に日本に一時帰国した際にはとくに症状はなかったが,6日前から発熱,全身倦怠感,筋肉痛が出現した.自宅で様子を見ていたが,改善しないため本日近医を受診した.近医での血液検査にて肝障害,急性腎不全,血小板減少の所見が認められたため,精査加療目的で当院に紹介となった.なお,前医で行われた末梢血ギムザ染色ではマラリア原虫は認められなかった,とのことであった.
既往歴:特記事項なし.
生活歴:現地ではマラリア予防内服は行っていなかった.蚊にはよく刺されていたが,現地でマラリアに罹ったことはない.裸足で田んぼの中に入ることもあったという.ネズミはいたるところにいたとのこと.
身体所見:意識はほぼ清明であるが易刺激性がみられた.血圧85/42mmHg,脈拍数120回/分,呼吸数25回/分,体温39.5℃,SpO2 99%(室内気).眼球結膜の黄染と充血(図1),および眼瞼結膜の充血あり.肝腫大はなし,Traube三角は濁音であった.体表に痂皮を認めない.
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