Editorial
次世代型電子カルテシステムがもたらすもの
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部総合研究センター臨床研究統括部
pp.707
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102613
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最近のIT(information technology)の進歩にはめまぐるしいものがある.医療情報という究極の個人情報を保管・利用するための安全性・倫理性のリスクは残るが,クラウド型電子カルテを日本全土に展開することも可能となった.文字情報は容量が小さいので,仮に500万人分のデータを集めても高々12TB(テラバイト)にしかならないという.最新ブルーレイディスク6台分に500万人分の電子カルテの情報が入ってしまうというのも驚きである.画像情報はローカルキャッシュサーバを用い,Dropboxなどと同様の方法で同期させれば回線スピードの問題点を回避することが可能になってきたので,米国政府の管理するVAホスピタル(退役軍人病院)で開発されオープンソースとして世界中で使われているVistA(Veterans Health Information Systems and Technology Architecture)のような共通電子カルテシステムがわが国でもクラウド上で構築できるようになるかもしれない.
VistAは全米163の病院や800を超えるクリニックなどが使用しており800万人の患者さんの診療情報が蓄積されていて,患者さんが自らのデータ(Personal Health Record)を管理し,診療予約も自分で変更できる.自分の相談したい医師や薬剤師に自分の診療録をみせることができる.
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