IT革命は病院医療をどう変えるか・7
電子カルテシステムを内包するペーパーレス統合情報システム(SHIMANE-IIMS)(3)—完全電子化は病院経営に何をもたらすか
沖 一
1
,
清水 史郎
2
,
大田 宣弘
2
,
川合 政恵
3
,
瀬戸山 元一
4
,
中川 正久
2
1島根県立中央病院事務局
2島根県立中央病院看護局
3高知市病院組合
4島根県立中央病院
pp.726-728
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903351
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診療情報の電子化は,規制緩和の命題のもとに1999年4月22日の厚生省(現厚生労働省)三局長通知として勢いよく飛び出し,次世代の病院運営にも新しい展望をもたらした.
これまで医療界は,各種の法律に擁護(規制)されて,他の産業に比べて特別扱いを受け続けてきたが,その壁が医療の現場からの自助努力による改革ではなく,外圧により崩れ去った感は否めない.完全な電子情報の共有が可能な法整備はまだ完壁ではないが,医療情報の電子化に対する多くの問題は,解決に向けて進捗している.この流れは,単に施設内の診療情報が電子化されたことにとどまらず,他の診療機関あるいは介護支援センター,在宅看護支援センター,地域リハビリテーションなどの関連機関はもとより受診者の自己管理のための医療情報の共有化にも道を開き,今までの診療サービスの提供者による一方的な提供から受診者のニードと選択による自己決定の支援としての情報提供に変化してくるなど,ネットワークを介してさらなる付加価値を求めて施設外に出ていくプラットフォームに他ならないことも示している.そこで,統合的な電子化を決定した要因とその際の医療情報が病院経営にもたらす方向性について,ほぼ2年にわたって統合情報システム(SHIMANE-IIMS)を運営した実績とそこから生じた新たな課題について述べたい.
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