特集 健診データで困ったら―よくある検査値異常への対応策
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pp.380-381
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102497
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Q1 慢性腎臓病(CKD)が心血管疾患(脳卒中・心筋梗塞)の独立した危険因子なのはなぜですか?
A1 腎臓は進化の過程で,動物が陸上生活をするために原始の海(細胞外液)を体内に保持するための調節器官として発達した.つまり,細胞外液組成とその量(つまりは循環血漿量)を調節しているのは腎臓である.その腎臓が障害されると細胞外液組成や体液量の異常をきたし,全身血管をを含め心臓や脳の血管や機能に影響を与えるのは理論的である.
表1に示すように,CKDが心血管に影響を与える因子として,多くのものが考えられている.腎機能低下によるNa異常(濃度や絶対量),循環血漿量増加をはじめ,最近注目されているのは,腎臓に深く関係している,リン代謝,カルシウム代謝,それらを調節するビタミンDやFGF23などがある.また,尿酸も腎機能が低下すると排泄が低下し,高尿酸血症となるが,これも動脈硬化に影響するといわれている.さらに,表1にあるように貧血,活性酸素,炎症などもCKDによって増加し心血管に影響を与える.
(飯野靖彦→p354)
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