Editorial
総合的な病態の捉え方
伴 信太郎
1
1名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻総合診療医学
pp.91
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102407
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総合診療医の真骨頂は総合的な‘ものの見方' をすることです.①「身体・精神心理・社会環境・自然環境」②「予防・診断・治療・リハビリテーション」③「保健・医療・福祉・介護」,④「個人・家族・職場や学校・地域」などの複合的な視点から病態を洞察することです.これらの視点とは異なり,病態の時間経過に沿って多面的な見方をする視点に⑤「3P理論」があります(4P理論もありますが,ここではよりわかりやすく3Pを考えます).
3Pとは,病態を考える時に「predisposing factor 素因」,「precipitating factor 誘因」,「perpetuating factor 増悪因」の3つの要因を考慮するという‘ものの見方' です.とくに,症状が慢性化している場合には,この3つのいずれもが,大なり小なり,程度の差はあれ関与していることが多いことを経験的に痛感します.逆に言うと,いずれか単独では慢性化することは少ないとも言えます.
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