連載 東洋医学講座 鍼灸医学を中心に・2
東洋医学における病気の捉え方
篠原 昭二
1
1明治鍼灸大学伝統鍼灸学教室
pp.916-921
発行日 2007年10月25日
Published Date 2007/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100792
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
病気を治したのは誰か?
まず,興味深い経過を示した症例を紹介しよう。
本学の附属鍼灸センターに,左股関節痛を訴えて来院した73歳の女性がいた。3年前に左乳がんの手術を受け,2年前から左股関節痛を自覚するようになり,乳がん手術後であることから,がんの骨転移ではないかということで種々の精密検査を受けていたものの,がんの再発や転移は否定されていた。整形外科で貼付療法を受け,鎮痛剤を処方されても,治療効果は一時的であった。そこで近所の鍼灸院へ通院して,股関節周囲の鍼通電治療(圧痛点に鍼を刺入して低周波通電を行う治療法)を受けたが,数日間は鎮痛効果があってもすぐに同じ程度の痛みが再現される。そこで,悪性の病気ではないかと不安に駆られて,来院したとのことであった。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.