連載 病床環境理解のための12の課題・1【新連載】
序:「環境」の捉え方
川口 孝泰
1
,
渡辺 秀俊
2
1兵庫県立看護大学
2千葉大学工学部
pp.374-379
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901107
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日本の医療は大きく様変わりを始めている.それは,QOLやインフォームド・コンセントなど,患者の権利に関する内容に注目されていることからもわかるだろう.そのような中,入院患者の環境的な諸問題が健康回復に大きな影響を及ぼす要因としてクローズアップされ,多くの病院では患者の入院環境を取り巻く問題に対して,様々な試みがされている.
病人が健康回復に向かうための環境的な要因の重要性を,特に衛生学的環境の改善から問い,看護実践によって証明したのが近代看護の創始者であるフローレンス・ナイチンゲールである.ナイチンゲールは,彼女自身の述べた看護の基本となる考え「自然が病人に対して最もはたらきかけやすい状態にすること(to putthe patient the best condition nature toact upon him)」1)つまり自然治癒力を高めるための手段の1つとして,環境を整えることが看護実践において重要であることを問うたと言える.
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