特集 眼科検査法を検証する
Ⅴ.網膜・硝子体疾患
黄斑浮腫の捉え方
堀口 正之
1
1藤田保健衛生大学医学部眼科学教室
pp.249-252
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906127
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黄斑浮腫の成因
黄斑浮腫の発生には血液—網膜柵(blood-reti-nal barrier)が関与している。血液—網膜柵には内血—網膜柵(網膜血管間の内皮細胞のtightjunction)と外血液—網膜柵(網膜色素上皮細胞間のtight junction)があり,それぞれの破綻が黄斑浮腫の原因となる。網膜の細胞外spaceは非常に小さく,網膜色素上皮によるactive transportがそれを維持している。血液—網膜柵の破綻により,細胞外spaceに血清蛋白が広がり,結果として細胞外spaceに液の貯留を起こすことになる。この液は黄斑部,特に外網状層と内顆粒層に貯留することが多い。検眼鏡的に明らかなcystを黄斑部に認めることがあり,類嚢胞様黄斑浮腫(CME)と呼ばれる1)(図1)。大きなcystは外網状層にあり,小さなcystは内顆粒層に出現する。なぜ黄斑部に浮腫液が貯まりやすいかは,わかっていない。症例によりCMEを起こす場合とdif-fuseに黄斑浮腫を起こす場合がある。黄斑浮腫の成因と血液—網膜柵の破綻の関係を表に示した。
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