特集 グローバル時代のジェネラリスト
ジェネラリストに求められるグローバリゼーションへの対応
医学教育の国際標準
吉岡 俊正
1
1東京女子医科大学医学部・医学教育学
キーワード:
医学教育
,
質保証
,
機関認証評価(J1)
,
世界医学教育連盟
,
グローバルスタンダード
Keyword:
医学教育
,
質保証
,
機関認証評価(J1)
,
世界医学教育連盟
,
グローバルスタンダード
pp.24-26
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102387
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医学から医療の国際化へ
21世紀の10分の1が過ぎ,新世紀の医療の変化が見えてきた.技術的進歩は世紀をまたいで続いているが,新世紀になり急速に進んだのは医療の国際化である.学問・技術としての医学は20世紀にグローバル化した.すなわち印刷・通信技術の発展,研究のボーダレス化が進み,世紀末にはインターネットの普及もあり医療情報が発生と同時に世界に広まる時代となった.開発された新薬の治験情報を国際ハーモナイゼーションとして標準化し,国際間で共有することも進んだ.また研究者自身が国外に留学,あるいは研究成果公表のために移動することが容易となっただけでなく,情報の電子化により国内にいながらにして海外との情報交換が可能となった.21世紀に入り,医師や患者の国際的移動が活発化し,実際の「医療」が国際化してきた.たとえばEU内では,実質的国境がなくなり医療者の国家間移動が盛んに行われるようになった.日本でも医療観光という言葉が使われ,外国の患者を受け入れる環境を整えるようになってきた.
このような実医療の国際化の時代になり,注目されてきたのが「質保証」である.自分が患者として国外の病院で診療を受けるとしたら,その病院の質,あるいは担当医の質は気になるに違いない.同じように来日する患者にも日本の医療の質,医師の質が優れていることを示さなくては,患者が安心して診療を受けられない.医療の質保証にはさまざまな側面があるが,本稿では医学教育,とくに日本での学部教育に絞って世界の動向を述べる.
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