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研究の背景
看護実践を表現する用語の標準がないことによる看護の可視化の遅れは,さまざまな問題を引き起こしている。中西らは,個々の看護師が自らの看護実践をどのように表現するか,それをどのような意味で使っているのかについて,2年間をかけて詳細な調査を行ない,看護実践の並列性・用語の乏しさに由来する一般用語表現の多さと専門性を示す用語の欠如・当該病院および病棟にしか通用しない方言的看護用語の存在・内容と表現のずれなど,その問題構造を提示した(中西,2000)。そして,それらの詳細データを分析した結果,看護行為の名称と内容に関する一致率の問題が指摘された。水流らはその分析結果に基づき,看護実践を表現する用語の標準化の必要性について報告している(水流ら,2002)。
この結果を受け,文部科学省研究補助金事業として,水流らは,「電子カルテ間のデータ交換を実現する看護実践分類および用語のモデル開発研究」に着手した(水流,2004)。電子化に向けて院内標準用語をマスターとして整備していた10病院の看護マスターと在宅領域の用語,総数7503件を収集し,そのうち看護に裁量のある3776件を対象に分析した結果と,その他多数の国内・国際的看護実践用語研究(ICNP,NANDA,NIC,NOC,日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会報告,川村らの在宅プロトコール研究,中西らの平成10─11年の文部科研報告,ほか)から得られた知見等をもとに,わが国で実際に展開されている看護実践を表現する用語フレーム開発の研究が行なわれた。そして2年間を経て,看護行為と看護観察の2群に分け,前者を基本看護実践と高度専門看護実践に分けることで,整備すべき対象がみえてきた。
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