総合外来
CKDの経過中,両手の著しい浮腫をきたし,remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群と診断した1例
石橋 正太
1
,
竹林 晃三
1
,
麻生 好正
1
,
犬飼 敏彦
1
1獨協医科大学越谷病院糖尿病内分泌・血液内科
pp.584-586
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102239
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
日常診療において浮腫を主訴に受診する患者は多い.浮腫を鑑別する際,全身性の浮腫か,局所性の浮腫かを分けて考えることが多い.
remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema(RS3PE)症候群の浮腫は手,足のみに出現し,体幹部や顔面には出現しないことより局所性の浮腫であると考えられるが,両側四肢の対称性の浮腫であることより全身性の浮腫と誤診する可能性がある.本症の存在を知らないと,全身性の浮腫ととらえ,利尿薬投与を行うも一向に症状が改善しないといった状況に陥る恐れがある.とくに全身性の浮腫をきたしうる心・腎・肝・内分泌疾患などが基礎疾患としてある場合には,これら基礎疾患に由来するものと考えがちである.
今回,高齢女性でCKD(chronic kidney disease:慢性腎臓病)の経過中に,両手の著しい浮腫が出現した症例を経験した.当初は全身性の浮腫ととらえ,CKDによるものと考え経過をみたが,増悪しRS3PE症候群の診断に至り,ステロイド投与にて著明な改善を認めた.
膠原病科や整形外科以外の臨床医も,本症を浮腫の鑑別診断の1つとして周知しておく必要があると認識させられた1例であるため,報告する.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.