発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013274353
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症例は76歳男性で、1ヵ月前から誘因なく右足関節から足背にかけ、腫脹と疼痛が出現した。3週間前より同様の症状が左足背に出現した。体温38.1℃で、両足背と両手背に発赤、熱感を伴う圧痕浮腫が認められた。左手関節に強い圧痛を認め、疼痛のため可動域が制限された。肝腎機能障害や電解質異常は認めなかった。左手関節の単純X線像で変形性関節症や関節軟骨の石灰化などの異常所見は認めなかった。左手造影MRIにて、手背で手指伸筋腱周囲に瀰漫性の造影効果を認め、腱鞘滑膜炎が疑われた。炎症所見の最も強かった左手関節の穿刺を行ったところ、偏光顕微鏡による鏡視で関節液中の尿酸ナトリウム結晶とピロリン酸カルシウム二水化物結晶が検出され、結晶誘発性関節炎が誘因となったRS3PE症候群を疑い入院加療した。RS3PE症候群の原因と成り得る悪性疾患検索を行ったが、その存在は否定的であった。左手関節に痛風性関節炎を生じRS3PE症候群の原因となったと考えられた。
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