シネマ解題 映画は楽しい考える糧[49]
「ラスト・キング・オブ・スコットランド」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.587
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102240
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医師の本分を忘れた若者の受難
本作品は紛れもなく,ウガンダのかつての独裁者アミンの物語です.しかし本連載では,登場人物のうちの一人である架空の若いスコットランド医師,ニコラス・ギャリガンについて取り上げましょう.というのも,われわれがニコラスの行動とその帰結から学ぶことがとても多いからです.おバカアニメ「ザ・シンプソンズ・ムービー」(2007年米国)を観て,公衆衛生と人権について考え込んでしまうような人間ですから,きっと私の視点はずれているのでしょう.「生命倫理過敏症」かもしれません.でも騙されたと思って本作品,もし余裕があれば「ザ・シンプソンズ」も観てみてください.きっとためになります.
イディ・アミンのことは皆さんご存知でしょう.1971年からウガンダで独裁政治を行い,失脚するまでに国民を30万人虐殺したという悪名高い人物です.「人喰い」だという噂もありましたね.この映画では,クーデターによって政権を奪取したアミンが支配するウガンダという「現実」を土台に,虚実取り混ぜたストーリーが展開します.
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