発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008332440
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68歳女。膝および足関節痛が出現し、近医にて治療を受けるが改善せず、発熱と両側胸部痛から当院受診した。両側膝・足・近位指節間(PIP)関節の変形を伴わない腫脹、高度炎症反応を認め、X線、CT画像で両側胸水の貯留を認めたが明らかな炎症性変化や腫瘍性病変、縦隔リンパ節の腫大は認めなかった。胸水は好中球優位の滲出性胸水で、培養検査は陰性であったが、細菌性胸膜炎を否定できず抗生物質を投与した。改善は認めず、対称性に手足に圧痕を伴う浮腫(pitting edema)が出現し、骨シンチグラフィで左右対称性に四肢末梢の関節に集積を認めたがリウマトイド因子等の自己抗体は陰性を示した。remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema syndromeを疑い、少量のステロイド薬(PSL 10mg/day)投与を開始し、2週間後に関節痛は消失し、浮腫や両側胸水も改善し退院となった。PSLは漸減後に中止したが約4年8ヵ月現在再発は認めず経過良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008