境界領域/知っておきたい
RS3PE症候群:Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema Syndrome
安岡 秀剛
1
Hidekata YASUOKA
1
1藤田医科大学リウマチ・膠原病内科学講座
pp.1266-1269
発行日 2019年12月25日
Published Date 2019/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201546
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はじめに
RS3PE症候群は,高齢者を中心に関節症状をきたす症例にみられ,しばしばリウマトイド因子・抗CCP抗体陰性の関節リウマチ(RA)(血清陰性関節リウマチ:seronegative RA),あるいは高齢発症のRA(elderly-onset RA:EORA),リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)との異同が議論される症候群の1つである.1985年にMcCartyら1)が報告した疾患概念で,Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema syndromeの略である.直訳すれば,「寛解に向かいつつある,血清反応陰性の対称性滑膜炎で圧痕浮腫を伴う」症候群となる.四肢の比較的大きな関節の炎症を主徴とし,再発は少なく,特に手背・足背の圧痕浮腫が特徴的である.治療としては少量のステロイドが著効を示す.これまでは比較的稀とされてきたが,高齢者の日常診療の中で遭遇する頻度が増え,関節炎の鑑別疾患の1つとして重要となりつつある.
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