Editorial
すべては地域医療に
松村 真司
1
1松村医院
pp.437
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102193
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医院を出て,川へと向かう通りを渡り自宅へと向かう途中,公園へ通じる道に入ると大きなソメイヨシノがある.私にとってのふるさとであるこの地は都内にしては緑が多く,鉄道線路沿いにも桜並木はあるのだが,他と違ってここの桜は道の脇にただ一本だけ立っている.堂々とした太い幹,そこから伸びる枝は公園の入り口の砂利道をおおうように広がっている.
朝,医院へ向かうときにはその樹の脇から自転車をこぎ出し,夜はそのあたりで自転車を降りて,押しながらゆっくり戻る.誰もいない,暗くなった夜の公園へと通じる道を,街灯と月明かりの混ざった蒼白い光に照らされ,きちきちにまかれた一日のねじをほどきながらその樹の脇を通りすぎるのが日課の一つである.
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