書評
地域のすべての支援者への贈り物として
高木 俊介
1,2
1ACT-K
2京都・一乗寺ブリュワリー
pp.223
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201272
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僕らがACT(包括型地域生活支援プログラム)を京都で始めて、ちょうど20年になる。ただただこの国の閉塞した精神医療、福祉に風穴を開けたくて、ひた走ってきた。10年も過ぎた頃、その熱意だけの実践に行き詰まりが見え、組織に綻びが生じはじめたことに気づき、持続のための模索をはじめ、今、ようやく僕らのACT-Kは第二のスタートラインに立ったところだ。
そんなとき、僕らの実践にはじまりから注目し続けてくれていた近田真美子さんから、素敵な贈り物が届いた。彼女は、僕らの「ユニークな実践」を単に個人の力量という特殊一回性のものとして片付けてしまうのではなく、スタッフ個々人への膨大なインタビューを現象学的に分析して「彼らが事象をどのように意味づけていたのか、経験の内側から眼差」してくれた。精神医療の専門性がその眼差しによって問い直され、「再び人々の人生を支える杖」として甦るのだ。
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