特集 公衆衛生の課題と展望
地域医療
五十嵐 正紘
1
Masahiro IGARASHI
1
1北海道厚岸町立厚岸病院
pp.161-163
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207636
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■コミュニティの形成
コミュニティ,つまり生活共同体の実体形成と意識形成の程度が,当該地域に関わる問題意識の形成とその問題の建設的な解決の基盤である.また,生きがいがあることが個人が健康であることの最も重要な内容であるように,地域に質の高い活発な営みがあることが,地域集団が健康であることの指標である.地域医療の成否も当然ながらコミュニティの形成や地域の営みの質の高さと不可分である.地域づくりに地道な提言と行動をすることが,地域医療に関わる医療人の必要条件となってくる.
共同体作りの基本は人作りであり,そのキーポイントは自立と共同である.特に健康な共同体の人作りにあっては,病や障害と共に生きる,病めるもの,障害者と共に生きるという地域社会の雰囲気が肝要である.このような心の主要な部分は,子供の頃に周囲のものとの出会いの中で培われる.地域医療に関わる医療人は,その長い地域の子供たちとの接触の中で,このような人間形成を支援する任務がある.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.