特集 病理診断に親しもう!
One more JIM
pp.620-621
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101978
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Q1 リンパ節腫大を認め,生検をしたいが検体をどのように処理したらよいか教えてください.
A1 リンパ節が腫脹する疾患は,感染症,免疫反応,膠原病,悪性腫瘍などさまざまである.
1個のリンパ節をいくつにも切り分け目的とする処理を行う(図1).無菌的にリンパ門を通る最大割面を作り,片方はスタンプ(捺印)標本を作製し,ホルマリンで固定し組織学的検索にまわす.残りの半分はさらに4つに分割し,細菌学的検索のための培養検査,電子顕微鏡のためにさらに細切しグルタールアルデヒド液に固定する.もう1つは細切し細胞浮遊液を細胞保存液に入れ表面マーカー検索,染色体検索にまわす.この溶液は培養株やウイルス分離にも用いることができる.そして,残りの1個は凍結し遺伝子(DNAやRNA)の解析にまわす.
とくに,悪性リンパ腫の診断で腫瘍細胞の由来を決めることは治療や予後を決めるうえできわめて重要である.ホルマリン固定標本でもある程度は検索できるが,遺伝子や染色体がよりよく保存された状態で検査専門機関に届けられることが望ましい.(下 正宗→p577)
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