特集 病理診断に親しもう!
【各論Ⅰ 自分で標本を提出する場合】
細胞診―喀痰・尿・体腔液・婦人科
海野 みちる
1
1杏林大学医学部病理学教室
キーワード:
細胞診
,
検体採取
,
検体塗抹
,
検体処理
,
乾燥
Keyword:
細胞診
,
検体採取
,
検体塗抹
,
検体処理
,
乾燥
pp.583-587
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101972
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細胞診(J1)を行う際には,細胞診の利点と欠点を理解したうえで,検査の目的や的確な採取方法を選択することが必要である.利点としては,1)検体採取の時間が短い,2)検査料金が安価で患者への苦痛が少ない,3)標本作製が簡便で繰り返し検査ができるため,経過観察や検診に向く,4)良性か悪性かの判断ができる,などがある.短所は,1)組織構造が不明瞭で,細胞の変性が強いと診断が困難なことがある,2)標本枚数に限りがあり,特殊染色の種類に限界がある1),が挙げられる.
細胞診は検体採取と検体処理の手技の良し悪しにより診断が左右されやすい.診断までの過程が不適切な場合,誤陽性や誤陰性を招く.検体採取は臨床医が行うことが多く,処理法や保存法を理解することが重要である.検査室も採取状況や材料の適・否を臨床に伝えるなど,相互の努力と歩み寄りが今後の診断精度の向上につながる.また,依頼書には診断に必要な画像情報・検査値・最終月経・既往症などの患者情報の提供が不可欠である2).
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