特集 腹痛診療の達人になる
【腹痛患者をみる時に心がけていること―これが大切!】
若い女性の上腹部痛をみたらFitz-Hugh-Curtis症候群を必ず疑う
宮崎 康
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1医療法人健和会 みさと健和病院内科
pp.191
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101872
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ある日の外来に,「右の横腹が痛む」といって28歳の女性が来た.1週前に同じ訴えで近医を受診し,尿と血液検査,腹部エコーを行ったが異常ない.「胃炎」の診断で胃薬をもらったが一向によくならず,ちょっと咳をするだけで痛みが強くなるという.看護師の介助を得ながら,眼・頸部から胸背部の診察を行う.帯状疱疹を示唆する皮疹はない.仰臥位になって膝を立ててもらい,腹部全体を掌全体で触診すると,臍の下に鈍い痛みを訴える.右上腹部を打診すると,痛みで顔をしかめる.さらに第2から5指の腹で柔らかく押さえながら,「指を持ち上げるように」深く息を吸ってもらうと,やはり顔をしかめる.体温は36.5℃.「いきなり聞きますが,おりものはないですか?」「ええ,1カ月前頃に多くて,下腹も痛むので婦人科に行こうと思っていましたが,よくなったので….」
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