特集 ジェネラリストのためのがん診療エッセンス
【総論】
新しい予防法・治療法
堀之内 秀仁
1
,
田村 研治
2
1国立がんセンター中央病院 通院治療センター 肺内科
2国立がんセンター中央病院 通院治療センター 乳腺・腫瘍内科
キーワード:
殺細胞性抗がん剤
,
分子標的薬
,
チロシンキナーゼ阻害剤
,
血管新生阻害薬
Keyword:
殺細胞性抗がん剤
,
分子標的薬
,
チロシンキナーゼ阻害剤
,
血管新生阻害薬
pp.858-862
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101808
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がんの治療戦略としては,手術療法,放射線療法,化学療法(抗がん剤)の3本柱があり,それぞれここ数十年で大きく進歩してきた.そのなかで,化学療法において長らくその中心を担ってきたものが,殺細胞性抗がん剤(cytotoxic agent)である.代謝拮抗剤,アルキル化剤,微小管重合作用薬,プラチナ製剤などがその代表的なものである.近年,これらの殺細胞性抗がん剤に並んで,分子標的薬と呼ばれる新たな抗がん剤が導入され,化学療法の多様性が増している.
殺細胞性抗がん剤の開発手順は,主に培養されたがん細胞に候補となるさまざまな薬剤を投与し,どの薬剤が,どの程度効率的にがん細胞を死滅させたかを集計し有望な薬剤を見つけるという「帰納的」知見に基づいている.それに対して,分子標的薬は,まずがん細胞の増殖・転移などのプロセスとそのポイントになる分子標的を見つけ,その標的に見合った薬剤を創薬するという「演繹的」な方法論に基づいて開発される.本稿ではこの分子標的薬について概論する.
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