特集 診療現場での倫理 Case Study
【Case Study】
同僚医師や上司の家族の治療や看取りの問題
仲里 信彦
1
1沖縄県立南部医療センター・こども医療センター総合内科
pp.676-678
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101763
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Case
患者:90歳,男性.主治医の勤務先病院における上司の舅にあたる方であった.
主訴:発熱.
現病歴:来院の2年前に大腿骨頸部骨折を起こし,手術を受けた.その後からADLは車椅子程度に低下し,老人保健施設に入所していた.もともと,軽度認知症はみられていたが,その症状も進行し,1年後にはコミュニケーションが困難となった.さらに,食事摂取も全介助となり,誤嚥を繰り返すようになった.施設において,理学療法と短期抗菌薬治療にて誤嚥性肺炎に対応するような状態が半年以上続いていた.しかし,入院2週間前から,発熱し,抗菌薬の治療に抵抗性であり,全身状態不良となった.さらに認知症の症状に加え,せん妄状態の極度の悪化がみられ,食事や治療に対する抵抗も強くみられた.施設での対応は困難という理由で,当院へ救急搬送された.
身体所見:血圧 120/70mmHg,脈拍 90/分,呼吸数 30/分,体温 38℃,SpO2 95%(3l酸素投与下).全身状態はるいそう著明で窮迫様である.意識レベルはGCS E2M5V2.口腔内乾燥著明,両肺野で蓄痰音著明で左肺で呼吸音が低下気味.心音は整でII/VIの駆出性雑音を認める.腹部は平坦・軟.四肢は著明な筋萎縮と中等度の関節拘縮が認められた.
アセスメント:①繰り返す誤嚥性肺炎,②認知症,③せん妄.
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