特集 診療現場での倫理 Case Study
【Case Study】
インフォームド・コンセントに苦慮するケース
関 正康
1,2
,
大滝 純司
1
1東京医科大学病院総合診療科
2東京慈恵会医科大学附属第三病院総合診療部
pp.680-682
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101764
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Case
患者:40歳台の男性.
現病歴:約半年前からの背部痛を主訴に近医を受診,腹部超音波検査にて後腹膜腫瘍が指摘された.腹部造影CTにて,腹部大動脈を取り囲む径100mmの腫瘤が認められたため,精査加療目的にて当科を紹介受診となった.
外来受診後の経過:
当科初診時,左側の精巣腫大が認められセミノーマか悪性リンパ腫が疑われた.確定診断と治療のため本人に入院を勧めるも,仕事の都合を理由に早期の入院に難色を示した.結局,入院した時には当科初診から約1カ月半が経過していた.
本人は独居であったが,入院当日は父親も遠方より来院した.担当医より,確定診断と治療には組織診断が不可欠であり,開腹手術あるいは精巣の摘出による生検が必要な旨の説明がなされ,その時点ではとくに拒否的な態度はみられなかった.
早急に手術を要するため精巣摘出術の予定が組まれたが,患者は決心がつかないとの理由で,手術予定日の前日になって手術を拒否した.当科と泌尿器科の担当医が手術の必要性を改めて説明したが,同意は得られなかった.患者は,食事療法やサプリメントの内服による治療を希望し,数日後に退院した.外来での経過観察中に,セカンドオピニオンを勧めたが消極的であった.また,父親へ病状を説明することにも難色を示した.
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