特集 高齢社会の看取りのサイエンスとアート
【非癌患者の終末期ケア】
在宅医療における非がん疾患の終末期ケアと看取りの現状,今後の方向性
平原 佐斗司
1
1梶原診療所 在宅サポートセンター
キーワード:
非がん疾患
,
終末期
,
緩和ケア
,
予後予測
,
症状緩和
,
意思決定
Keyword:
非がん疾患
,
終末期
,
緩和ケア
,
予後予測
,
症状緩和
,
意思決定
pp.654-657
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101480
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SUPPORT(The study to understand prognoses and preference for outcomes and risks of treatment, 1995年)1)やRSCD (Regional study of care for the dying, 1990年)2)などの研究によって,多くの非がん疾患患者が苦痛のなかに放置されていることが明らかになった.欧米では,英国や米国を中心に非がん疾患の緩和ケアの必要性が報告され(J1),WHOも高齢者にも適切な緩和ケアが提供されるべきであると提言している(J2).一方,わが国では緩和ケア・ホスピスケアは常に末期がんをモデルに議論され,わが国の死因の2/3を占める非がん疾患のホスピス・緩和ケアについてはほとんど議論されてこなかった.
がんは再発するとほとんどの人がそのがんで死亡する.がんのそのような特殊性のため,末期がんの予後予測はそれほど困難ではない.それに対して,非がん疾患では必ずしもその基礎疾患と関連する問題で死亡するとは限らず,非がん疾患の終末期の軌道は非常に多様である.また,がんは最期の1,2カ月に急速に機能が低下するという特徴的な軌道をたどることが多いのに対して,非がん疾患では通常急性期と終末期の区別は容易ではなく,非がん疾患の終末期の軌道は多様である(トピックス「高齢者の予後予測をめぐる議論」図1[674頁]参照).
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