特集 手をみせて
【全身疾患でみられる手の所見】
消化器疾患でみられる手の所見
福本 陽平
1
,
小野 咲弥子
1
,
實近 百恵
1
1山口大学医学部附属病院総合診療部
キーワード:
手掌紅斑
,
羽ばたき振戦
,
肝硬変症
,
肝不全
,
胆汁うっ滞
Keyword:
手掌紅斑
,
羽ばたき振戦
,
肝硬変症
,
肝不全
,
胆汁うっ滞
pp.492-494
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101440
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Case
患者:65歳,男性.
現病歴:最近,全身倦怠感と下肢の浮腫が続くために外来を受診した.体格は痩せが目立ち,顔面の皮膚は薄暗く,両手には対称性に手掌紅斑がみられた.前胸部にはクモ状血管腫があり,下肢には高度の浮腫が認められた.手掌紅斑があるために肝硬変症を強く疑い,飲酒歴を尋ねると日本酒5合/日(約40年間)の大酒家であった.輸血歴はなかった.血液生化学検査では,Alb 2.4 g/dl, T-bil 2.3 mg/dl, AST 78IU/l,γ-GTP 324IU/l, HBs AG(-), HCV-Ab(-)であり,腹部エコー検査では腹水を伴う肝硬変症であった.3カ月間の禁酒により,全身状態や腹水は回復し,検査値もAlb 3.4 g/dl, T-bil 0.9 mg/dl, AST 34IU/l,γ-GTP 62IU/lと改善した.
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