特集 ホームレスを診る
【ホームレスをもっと知るために】
女性ホームレスの健康問題と対策―彼女たちに寄り添い続けた体験から
宮下 忠子
1
1ボランティア団体「コミュニティワーカー制度を考える会」
キーワード:
女性ホームレス
,
山谷地域
,
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法
Keyword:
女性ホームレス
,
山谷地域
,
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法
pp.314-315
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101395
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1975年8月から私は,俗称「山谷地域」といわれている簡易宿所密集地帯の中心にある東京都城北福祉センターの医療相談員になった.
1.66km2の地域内に211軒の簡易宿所があり,8,095人の日雇労働者が止宿していた.地域内における男女の比率は,男性98%,女性はわずか2%(199人)であり,ほとんど見かけることはなかった.
当時はオイルショックの影響を受け,山谷対策として法外援護を主とする職場は,毎日300人を超える相談者で溢れ,給食,宿泊,医療,生活保護などの相談を待つ待合室は絶望的な空気が漂っていた.私の仕事は緊急入院を必要とする患者とともに救急車に添乗し入院先へ同行し,病院に事務連絡をすることや,入院後は患者の治療回復のために見舞いしはげますことだった.ほかに一般の相談もこなした.医療相談が1カ月に800人を超えることもあり,緊急入院の患者がこの年は164人入院している.その多くが山谷病といわれる肺結核,肝硬変,肝炎,胃腸障害,アルコール中毒,心臓疾患,骨折などであり,年間200人を超える人々が亡くなっていると噂されていた.
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