特集 論争の現場を見にいく
【実例で見る論争】
ARBはファーストラインの降圧薬か
米田 博輝
1
1中泊町国民健康保険小泊診療所
キーワード:
ARB
,
高血圧ガイドライン
,
メタアナリシス
,
薬剤選択の積極的適応
,
病い体験
Keyword:
ARB
,
高血圧ガイドライン
,
メタアナリシス
,
薬剤選択の積極的適応
,
病い体験
pp.1030-1033
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101299
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
降圧薬を自己中断していた1例
患者:64歳,女性.
家族歴:父親がくも膜下出血後遺症で寝たきりで,施設入所中.
現病歴:生来健康.数年前より軽度の高血圧を自覚していたものの,症状がないため放置.住民健診を受けた際に脳卒中の話を聞き,心配となったため来院した.高血圧以外のリスクファクターはなく,また,二次性高血圧の可能性も低いと思われた.来院時の血圧は152/90mmHgであり,家庭血圧も同程度であることが確認できた.食事療法や運動療法から開始することを提案したものの,脳卒中で寝たきりになると困るとのことで,内服薬を強く希望した.利尿薬で治療を開始して経過観察する方針となったが,後日,処方薬を中止したいとの申し出があった.友人と旅行をする際にトイレに頻回に行くような気がして迷惑をかけているとのことであった.バスに乗る時にはとくに不安になるという.
以前から尿意の切迫感はあり,実際には利尿薬投与後もそれほど頻度や程度は変わらないものの,薬局で利尿薬の説明を受けた後より,服薬にはやや消極的であり,ほとんど服用していなかった.循環器科に通院している友人がARBを飲んでおり,同じ薬を飲んでみたいとのことで同薬を半量から投与することにした.その後,血圧は安定し,通院を継続している.頻尿に関しては以前とほぼ同じ症状だが,利尿薬を飲んでいる時ほど気にならないという.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.