特集 ストップ・ザ・医原性疾患
【医原性疾患エピソード】
ミノサイクリンによる肺炎は一般の薬剤性肺炎とは違った!
佐藤 元美
1
1国保藤沢町民病院
pp.938
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101271
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3月末,61歳の女性が急性発症の高熱,関節痛,咳嗽,呼吸困難,全身倦怠感,胸部X線写真上両側陰影で,開業医から紹介され入院となった.初診時の身体所見では体温38.5℃,頻脈,頻呼吸がみられたが,胸部聴打診は正常であった.胸部X線写真では両側肺尖から上肺野にかけて浸潤影があり,CTでは両側肺尖から上肺野にかけて末梢有意の濃厚な陰影があり,多発していた.また,陰影は解剖学的区域と一致しなかった.中等量の胸水,15mm程度の縦隔リンパ節腫脹を伴っていた.SpO2は94%と低く,WBC 6,200/μl,好酸球14%,CRP>7.0mg/dl,AST 94IU/l,ALT 220IU/lとトランスアミナーゼ上昇もみられた.喀痰グラム染色などの原因菌検出検査は陰性であった.
画像上,慢性好酸球性肺炎に類似しており,末梢血液で好酸球増加があることから,慢性好酸球性肺炎と診断した.当院初診の1カ月前から,顔面の皮疹に対してミノサイクリン50mgを1日2カプセル服用していた.ミノサイクリンによる好酸球性肺炎と診断し,中等量のステロイド投与で速やかな改善が得られた.
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