特集 ストップ・ザ・医原性疾患
【医原性疾患エピソード】
造影剤の副作用が問題になった例
原 朋邦
1
1はらこどもクリニック
pp.931
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101268
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症例は46歳の女性.気管支喘息,高脂血症の対応として,フルチカゾン,サルメテロールの吸入やプラバスタチンの内服などの処方を行っていた.どちらもコントロールは良好であった.
最近,両側下肢に浮腫をみるとの訴えがあり,循環器専門医の診察を受けることを勧めて紹介した.紹介先でのX線写真で異常陰影を発見され,肺癌を疑われて専門医に紹介された.その紹介先で,入院,精密検査の結果,腺癌でステージⅢAと診断され,手術による治療を行うことになった.ところが,術前検査で同施設の循環器科医師が冠不全を疑い,術前に冠動脈造影を行い,その結果で手術の適応を決めることになった.患者は20代で腎盂腎炎に罹患した際に,腎盂造影で血圧低下,嘔気,冷汗をきたした既往があった.そのため同病院から,「造影剤にアナフィラキシーがあるので,血管造影は実施不可能.したがって手術は行えない.もし手術を希望するなら,手術を行ってくれる医療機関を探すように」といわれて退院してきた.
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