皮フ科医直伝2―よくあるトラブルと対処法
爪の診察―トラブル回避のポイント
中村 健一
1
1おゆみの皮フ科医院
pp.97-100
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101091
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爪の異常=爪白癬(爪ミズムシ)ではない
爪白癬のテレビコマーシャルが盛んに放映されている.製薬会社のもくろみもあるかもしれないが,隠れている「潜在」爪白癬の患者の足を医療機関に向かわせるには良い方法かもしれない.だが重大な落とし穴もある.患者の多くは,爪の異常を「ミズムシ」と思い込んで来院するわけだが,医師もその患者の「自己診断」に同調してはならない.爪の病変は多岐にわたり,爪の病変部から確実に真菌(白癬菌)が見つからなければ,爪白癬の診断はしてはならない.安易な肉眼診断がトラブルになることは間違いない.抗真菌薬は高価であり,保険診療での患者側負担金はばかにならない.「治りませんね」で済む問題ではないのである.「コラ!やぶ医者!金返せ!」となったら一大事である.
こんなにある白癬以外の爪疾患
●尋常性乾癬(図1):点状の陥凹などがあると教科書には記載してあるが,臨床現場では白癬そっくりで鑑別できない場合が多い.最も誤診しやすい日常ありふれた疾患であり,要注意.尋常性乾癬の皮膚症状を見つけることが鑑別点である.
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