EBM時代の生薬・方剤の使い方 [第12回・生薬編]
山椒と腸管運動
橋本 和則
1
,
佐藤 和子
2
Kazunori Hashimoto
1
,
Kazuko Satou
2
1株式会社ツムラ生産本部・茨木工場
2株式会社ツムラ研究本部・医療評価研究所
pp.1068-1071
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101089
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山椒は,日本薬局方ではサンショウ(Zanthoxylum piperitum De Candolle)の成熟した果皮と規定され,健胃薬として苦味チンキの原料となるほか,粉末は胃腸薬の配合剤として用いられる.また,果実は香辛料,果皮も薬味として重用されている.
本邦において,山椒は漢方の要薬として大建中湯,当帰湯などに配合されるが,中国の蜀椒に山椒を代用した来歴がある.山椒の類似生薬として『神農本草経』の上品に「蜀椒」,中品には「秦椒」の載録をみる.現在,これらは各々,花椒(Z. bungeanum Maxim. )と青椒(Z. schinifolium Sieb. et Zucc. )に相当すると考えられており,中国の公定書である『中国薬典』には両者の総称名として「花椒」が収載されている.このように,山椒とその類似生薬の名称は複雑であるが,いずれも生薬学的には区別されている.
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