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腸管病原細菌のヒト腸管付着性
山本 達男
1
1順天堂大学医学部細菌学
キーワード:
腸管病原細菌
,
下痢原性
Keyword:
腸管病原細菌
,
下痢原性
pp.1220-1221
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900300
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図1はヒト小腸を腸管腔側から見たものである.小腸の粘膜表面は無数の絨毛で占められている.回腸の粘膜には,このほかにリンパ小節上皮が,絨毛に囲まれるようにして存在している.このようなリンパ小節には,単一な小節が孤立して存在する孤立リンパ小節Single lymphoid folliclesと,リンパ小節が密集して集合体を形成する集合リンパ小節Aggregated lymphoid follicles(Peyer's patches)がある.回腸の粘膜には,孤立リンパ小節を多数,パイエル板を10個以上認める.孤立リンパ小節の上皮(SFAE)とパイエル板に存在するリンパ小節の上皮(PEAE)は同一ではない.パイエル板上皮にはM細胞がクラスターをなして多数存在するが(図1),孤立リンパ小節上皮にはM細胞の分布が著しく少ない,両者は機能を異にすると思われる.M細胞は他の上皮細胞と異なり,腸管腔側表面に(微絨毛を欠き)微小ひだMicrofoldsを持う1).M細胞の機能は,管腔内のコレラ菌などの抗原の摂取と,M細胞内に存在する抗原提示細胞への抗原の伝達である2,3).M細胞を多数もつパイエル板は局所感染防御機能の要である.
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