特集 せん妄・妄想・幻覚へのアプローチ
プライマリ・ケア現場からの問題提起
Generalistが対応に困る症例
伊藤 澄信
1
Suminobu Itou
1
1順天堂大学臨床薬学科/総合診療科
pp.830-831
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101033
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対応に困っている妄想症例
【症例A】宗教団体Xとの戦い
80歳の女性.10年前から月に1回通院中.毎回,ある宗教団体からいやがらせを受けているとの話をして帰る.「宗教団体Xがこの病院に来られないように仕向けているのだけれど,先生やめないですよね」といった内容の会話が繰り返される.ほぼすべての歯が齲歯になっているが,「歯医者はみんな宗教団体Xの回し者だから歯の治療ができない」という.メニエール病として,30年以上も当院耳鼻咽喉科Y先生だけを頼りに通院していたが,Y先生が定年退官するため,総合診療科に紹介受診された.軽度の高脂血症と変形性膝関節症があり,頭部CT検査では年齢相応の多発性脳梗塞があるが,見当識や記銘力に障害はなく,診療費の未払いや警察からの連絡を受けたこともない.一人暮らしだが,入院歴もなく,家族の付き添いもないので,経済的な自立度を含めて本人の生活の詳細は不明である.経過中に前胸部に自壊した感染性粉瘤ができたのだが,本人の強い希望により内科外来で処置をしたことがある.
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