EBM時代の生薬・方剤の使い方 [第6回・方剤編]
防已黄耆湯
大竹 哲也
1
1大竹ペインクリニック
pp.545-548
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100972
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防已黄耆湯の出典は『金匱要略』で,「風湿,身重く,汗出でる者」に良いとされている方剤である.すなわち,体表に水毒が認められ,色白で水太りの体質であり,汗の多い傾向の人に良い適応があり,下肢の浮腫や膝関節が腫脹する場合に良いと考えられている.臨床では,腎炎やネフローゼなどの腎疾患,水太りの肥満症や多汗症,浮腫,膝関節の腫脹や疼痛を訴える変形性膝関節症や関節リウマチ・関節炎などの幅広い疾患に用いられている方剤である.
臨床:疾患に対する効果
変形性膝関節症(OA)に対する効果
OAの患者67例を非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)単独投与群(10例),漢方薬単独投与群(29例),NSAIDs-漢方薬併用群(28例)の3群に分けて疼痛の改善を比較した.漢方薬は「証」に従って投与した.防已黄耆湯投与例数は漢方薬単独群で21例,NSAIDs-漢方薬併用群で15例であった.投与開始前の痛みの強さを10として,3カ月後のペインスコアを比較した.治療開始前のX線gradeおよび型分類では,3群間に差はなかった.3カ月後のペインスコアはNSAIDs単独群で5.5,漢方薬単独群で2.0,NSAIDs-漢方薬併用群で3.0となり,漢方薬単独群,NSAIDs-漢方薬併用群はともにNSAIDs単独群より有意に疼痛の改善を認めた(図1)1).
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