在宅医療技術の進歩18
在宅酸素療法の適応と効果
山脇 功
1
1東京女子医科大学第2病院内科
pp.549-553
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100973
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在宅酸素療法(HOT : home oxygen therapy)は,慢性呼吸不全患者の低酸素状態を補正するために,酸素を供給する補充療法である.成人では慢性呼吸不全と肺高血圧症のみが社会保険適用であったが,今年度から無呼吸を伴う重症心不全が追加された.原因疾患の改善に直接結びつく治療法ではないが,慢性呼吸不全患者の生命予後やADLを改善することから1985年のHOT保険適用以後,急速に普及した.本稿では,慢性呼吸不全患者におけるHOTと非侵襲的陽圧換気療法の適応と効果について述べる.
慢性呼吸不全患者におけるHOTの目的
慢性呼吸不全患者に対するHOTの目的は,①酸素吸入による入院からの開放,②肺高血圧・肺性心への進展抑制,③生存期間の延長,④運動能力の改善,⑤生活の質(健康関連QOL : quality of life)の向上,⑥医療資源の有効活用などである.生理学的には,①組織での低酸素の改善,②肺循環における低酸素性血管攣縮の抑制による肺高血圧・肺性心への進展防止である.
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