EBM時代の生薬・方剤の使い方 [第6回・生薬編]
黄耆と骨
丁 宗鐵
1,2
,
金 光弼
3,4
1順天堂大学医学部医史学研究室
2日本薬科大学
3Dept. of Molecular
4Cell Biology University of Connecticut
pp.541-543
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100971
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臨床上,黄耆は薬用人参と並んで重要な生薬であるにもかかわらず,その薬理作用は明らかにされていなかった.その第1の理由は,黄耆はin vitroでは著明な効果を示さず,in vivoでの実験系が必要なためであった.しかし,近年免疫系を中心に黄耆の多彩な活性が注目されるようになってきた1).さらにわれわれは,黄耆が骨代謝にもきわめて強力な作用を示すことを見出した.
高齢化社会を迎え,骨粗鬆症の患者は増加の一途をたどっている.骨粗鬆症は骨吸収が骨形成より亢進した病態の総称である.そのなかには種々の病因が混在していると考えられる.とくに女性は閉経後に急速に骨粗鬆症を発症する.更年期はホルモン状態の変化だけでなく,神経,免疫,内分泌の相関に異常をきたす時期でもある2).そこでわれわれは,骨粗鬆症には免疫異常が関係しているものもあると推定して,モデル動物を確立した3).本モデルにおける黄耆と黄耆の配合された漢方薬の影響を検討した.
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