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緒言
口腔並に咽頭は最も容易に外部より種々の細菌の侵入し得るため,健康者に於ても各種の微生物が寄生的に常に存在する事は,一般の等しく認める所である.健康者の口腔及び咽頭に於ける肺炎双球菌は20-50%の高率に見出される事はNetter氏以來多數学者の研究によつて明かである.且咽頭に常存する本菌は,一般に無毒性のものであるが,個人の素質,抵抗力の減弱,或は菌の毒力強度並に菌數高度等種々の要約により其の猛威を逞うして特有の疾患を惹起するものと思考される所である.
1891年Jacondが肺炎双球菌性アンギナなる疾患を報告して以來,Lescheke,Reiche u Schemerus,Schramek等の研究により独立せる疾患として認められるに至つた.本疾患は一般に急性の経過を取るが,Semon u. Uffenorde,等の報告せる如く稀に慢性の経過を取り,潰瘍を形成し結核性又は梅毒性の疾患と誤認せられる型を取る者あり,又疾患が主として口腔粘膜に限極し,口腔殊に口唇,口蓋,歯齦,頬粘膜に恰もアフテンに類似せる斑点を有する口腔炎の存在は,既にMiklieg u. Kümmel,の成書に記載されたところである.
私は最近全身症状を伴う肺炎双球菌性アンギナの,稍々慢性の経過を取れる一例を経過したのでここに報告する次第である.
Ono states the cause of anginal pharyngitis in a patient, an unmarried woman of 25 years of age, was dus to diplococcus pneumoniae. Blood examination of the patient revealed bacteremia which was passing into a "chronic state" and also "atonic reactions"
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