EBM時代の生薬・方剤の使い方 [第5回・生薬編]
遠志と神経
矢部 武士
1
,
山田 陽城
1
1北里大学北里生命科学研究所和漢薬物学研究室
pp.443-445
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100898
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遠志は,ヒメハギ科(Polygalaceae)のイトヒメハギPolygala tenuifolia Willdenowの根を乾燥させたものであり,中心の木部を抜き去ったものが薬用とされる.『神農本草経』に上品として収載され,「耳目聡明,不忘,益智,強志,不老」との記述がみられる.遠志中の主要成分としては,サポニン類,フェノール配糖体,スクロース誘導体,オリゴ糖,キサントン類などが報告されている.
薬理作用
スコポラミン誘発記憶学習障害に対する改善作用
ムスカリン性アセチルコリンレセプターのアンタゴニストであるスコポラミンを投与されたラットでは,受動的回避学習試験やMoriss水迷路試験における記憶学習関連行動の成績低下が観察される.遠志エタノール抽出エキス(BT-11)の腹腔内投与(1 mg/kg)は,スコポラミンによるこれらの記憶学習障害を有意に改善させた.
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