特集 帰してはいけない外来患者
【ケーススタディ】
胸痛を訴える患者
山畑 佳篤
1
1京都大学医学部附属病院 初期診療・救急医学
キーワード:
急性冠症候群
,
急性大動脈解離
,
肺塞栓
,
心臓生化学マーカー
,
心臓超音波検査
Keyword:
急性冠症候群
,
急性大動脈解離
,
肺塞栓
,
心臓生化学マーカー
,
心臓超音波検査
pp.30-33
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100835
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Case
Case 1
28歳の男性が友人と飲酒中に胸痛を訴えて過換気状態となった.いつまでも過換気状態が続くため,友人が付き添って来院した.発汗が著明で前胸部を押さえて苦しがり,呼吸数は明らかに30回/分以上であった.来院時のバイタルサインは,意識JCS10,血圧150/86mmHg,脈拍数110/分,体温35.8℃,SpO2100%.ゆっくり呼吸をするように精神的援助をしながら,念のために,と思い12誘導心電図検査をしたところ,はたしてV2からV6まで3mm以上のST上昇を認めたのだった….
Case 2
75歳の男性が前日から持続する左胸痛を訴えて来院した.来院時のバイタルサインは,意識清明,血圧140/70mmHg,脈拍数90/分,呼吸数20/分やや浅い,体温36.5℃,SpO295%であった.冠危険因子:高脂血症の治療中.喫煙20本/日×50年.すぐに12誘導心電図を検査したところ,有意なST変化はなかった.詳しく病歴を聞くと,昨日,重いケースを抱えるように持ち上げた時に左胸部に痛みが走り,それ以来体動や深呼吸で左胸部が痛いとのことだった.触診をすると左の第7肋骨に明らかな圧痛あり.呼吸音に左右差なく,心筋トロポニン定性簡易測定キットも陰性であった.胸部X線撮影で疼痛に一致して肋骨に骨折線を認めたため,鎮痛薬を処方して帰宅させた.
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