特集 すぐそこにある心血管エマージェンシー
Overview
「わかりにくい」主訴の心血管イベント
岡田 亮太
1
,
林 寛之
1
Ryota OKADA
1
,
Hiroyuki HAYASHI
1
1福井大学医学部附属病院救急総合診療部
キーワード:
急性冠症候群
,
急性大動脈解離
,
肺塞栓
,
painless
Keyword:
急性冠症候群
,
急性大動脈解離
,
肺塞栓
,
painless
pp.1213-1217
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika120_1213
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Summary
▪急性冠症候群(ACS),急性大動脈解離,肺塞栓の患者では特徴的な主訴がない症例も少なくない.
▪ACSでは,胸痛を訴えない患者も8.9%程度あり,呼吸苦や嘔気・嘔吐が主訴となることがある.
▪急性大動脈解離では,胸背部痛を訴える患者は61.6~84.8%程度であり,疼痛をまったく訴えない患者も6.4%程度あり,うっ血性心不全,失神,意識変容が主訴となることがある.
▪肺塞栓は胸骨痛や,突然発症の胸痛はオッズ比が低く,失神,頻呼吸や呼吸苦が主訴となることがある.Wells’ criteriaなどのprediction ruleを活用し,ハイリスクな場合には胸部造影CTなど精査を要する.
▪原因不明の呼吸苦,嘔気・嘔吐,失神,意識変容などをみた場合,これらの心血管イベントを想定した対応が必要と考えられる.
© Nankodo Co., Ltd., 2017