特集 長引く咳
[対象別の咳]
小児の咳
原 朋邦
1
,
村上 綾子
1
1医療法人(社)皆誠会はらこどもクリニック
キーワード:
遷延性咳嗽
,
反復性咳嗽
Keyword:
遷延性咳嗽
,
反復性咳嗽
pp.1039-1041
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100756
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Case
夜間救急の場で診断できた縦隔腫瘍の1例
患 者:13歳,男児.
既往歴:過去に咳が遷延したことはない.
現病歴:発熱,鼻汁,喀痰を伴わない咳嗽が続いており,夜間に増強する.近医で「かぜ」として加療されていたが増悪し,喘息を疑われていた.就寝後に咳嗽が増悪し,深夜に来院.聴診で異常呼吸音なく,打診により,中央濁音界の拡大があり縦隔腫瘍と診断した.翌朝,小児専門医療機関へ紹介し,生検により悪性リンパ肉腫と診断された.経過,随伴症状,理学的所見を正しく把握すれば,診断はもっと早期に可能であったと考えられる.
小児の患者では,咳嗽が受診理由である頻度は高い.そのような疾患群を年齢別に表1に示した.多くの患者では,咳嗽はそれほど困ることなく自然に消失する.他方,咳嗽の反復・持続が時として重要な疾病の存在を示唆していることがあり,経過が3週間を超えるいわゆる“長引く咳”の症例ではその頻度が高い.
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