特集 長引く咳
[慢性咳嗽各論]
心理的要因の関与する咳
水野 泰行
1
,
中井 吉英
2
1コープおおさか病院心療内科
2関西医科大学心療内科学講座
キーワード:
心身症
,
転換性障害
,
気管支喘息
Keyword:
心身症
,
転換性障害
,
気管支喘息
pp.1034-1037
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100755
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臨床医ならば誰もが,心理的要因が強く関与していると考えざるを得ない身体疾患を経験するものである.それはほとんどあらゆる種類の疾患にわたり,一般的な治療への反応も鈍く,経験がなければ対応に苦慮することも多い.咳嗽もその1つで,とくに気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などの慢性的に苦痛を伴うような呼吸器疾患,あるいは検査によっても明らかな器質的原因が見当たらない呼吸器疾患では,心理面からの修飾を受けやすい印象がある.また,このような疾患に限らず,ACE阻害薬の副作用としての空咳にも心理的な要因が関与していることを示唆する報告もある1).ただし,心理的要因の関与といっても定型的なものはなく,患者自身の性格や価値観,感受性,生活史,社会的状況などによって影響を受けるので,普遍的に通用する説明は困難である.
本稿では実際の症例を提示するので,そのエッセンスを感じ取っていただければ幸いである.
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