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特集 機能性神経障害(FND;ヒステリー)診療の近年の革命的変化――COVID-19の影響も踏まえて
FNDの歴史と近年の革命的変化
The history and recent revolutionary innovation of functional neurological disorders
園生 雅弘
1,2
Masahiro SONOO
1,2
1帝京大学医療技術学部視能矯正学科
2同医学部脳神経内科
キーワード:
機能性神経障害(FND)
,
ヒステリー
,
転換性障害
Keyword:
機能性神経障害(FND)
,
ヒステリー
,
転換性障害
pp.493-497
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293060493
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ヒステリーは長い歴史を有する疾患であるが,20世紀に入って精神科と神経科(neurology)の分離が進むと,ヒステリー患者が悩んでいるのは身体症状なので精神科にはかからなくなり,このため精神科ではヒステリーという疾患は存在せず,すべては誤診か詐病ではないかという説が有力になった.21世紀に入り,スコットランドのStoneらを中心とする神経科医によって,この状況に革命的変化がもたらされた.まず用語としては機能性神経障害(FND)が推奨され,FNDはneurology外来患者の2割前後を占めるcommon diseaseであることが示された.また,2013年発表の精神科での診断基準であるDSM-5において,心理的要因の存在が基準から外され,代わりに神経学的に説明できない徴候=陽性徴候の存在が必須となった.検査は最小限として,早期に陽性徴候に基づいて積極診断をすることが今や推奨される.さらに脳神経内科医による説明が治療の第一歩となること,およびリハビリテーションの有用性も示された.

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