Japanese
English
特集 心因性疾患(変換症/転換性障害;ヒステリー)の現在
脊椎脊髄外科領域で遭遇する転換性障害(ヒステリー)
Conversion Disorders in Clinical Settings of Spine and Neurospinal Surgery
二階堂 琢也
1
,
紺野 愼一
1
Takuya NIKAIDO
1
,
Shin-ichi KONNO
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University, School of Medicine
キーワード:
転換性障害
,
conversion disorders
,
心理社会的因子
,
psychosocial factor
,
集学的アプローチ
,
multidisciplinary approach
Keyword:
転換性障害
,
conversion disorders
,
心理社会的因子
,
psychosocial factor
,
集学的アプローチ
,
multidisciplinary approach
pp.205-214
発行日 2020年3月25日
Published Date 2020/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201330
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はじめに
脊椎脊髄外科医は,脊椎由来の痛み,しびれ,感覚障害,および機能障害の病態を正確に診断し治療しなければならない.しかし,痛みやしびれなどの症状は主観的なものであり,医療者が可視化する手段はない.そして,身体所見や画像所見だけでは,合理的な説明ができない症状に遭遇することがある.慢性的な経過をたどり,難治化した症例の中には,その症状に転換メカニズムが関与していることが少なくない.転換メカニズムによる症候は,器質的原因による痛みや感覚障害との判別が必ずしも容易ではなく,脊椎脊髄外科医は症状を改善させるためにときに手術を選択してしまう.しかし,手術のような侵襲的な治療では症状の改善が得られないだけでなく,さらに病態が複雑化し,難治化する場合がある.転換性障害による症状に対しては,一般的な整形外科的治療が奏効することはきわめて少ないことを理解し,多面的なアプローチを行う必要がある.
転換性障害は一般的に,「訴えが随意運動機能または感覚機能を損なう1つまたはそれ以上の症状または欠陥」である場合,つまり,「歩けない,感覚がない」などが主訴となる.脊椎脊髄外科領域では,狭義の転換性障害ではなくても,転換メカニズムで維持されている慢性痛が少なくないことから,本稿では,転換メカニズムによる痛みについても取り上げ,脊椎脊髄外科領域で遭遇する転換性障害について考察する.
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