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Case
咳喘息と考えられた1例
患 者:36歳,女性.
既往歴・家族歴:とくになし.
職業歴・生活歴:縫製工場勤務,ペット飼育歴なし.
現病歴:昨年の11月より咳嗽を認めるようになる.当初,感冒として近医通院するも改善なく,症状が出現して2カ月後,当院アレルギー科を受診した.咳嗽は,乾性咳嗽で喀痰はほとんど認められない.また,咳嗽は1日中認められるが,就寝時また明け方にとくに強く認められた.
検査所見:WBC 5,600 /μl(Nt 56.0%,Ly 25.4%,Mon 7.0%,Eos 10.2%,Baso 1.4%),RBC 406万/μl,Hb 12.7 g/dl,Plt 22.5万/μl,IgE(RIST)111 IU/ml,IgE(CAP-RAST)ダニ0,スギ1,カモガヤ1,気道過敏性(アストグラフ法)5.324μg/ml,喀痰中Eos 34.2%,肺機能:VC 2.87 l,%VC 98.0%,FVC 2.93 l,FEV1.0 2.70 l,FEV1.0%92.15%,MMF 3.33 l/s,V75 5.55 l/s,V50 3.96 l/s,V25 1.84 l/s,V25/HT 1.19 l/s/m,胸部X線:異常なし,胸部CT:異常なし.
呈示の症例は,通常の鎮咳薬,抗生剤では症状の改善がなく,胸部X線上は異常がなく,8週間以上乾性咳嗽が持続しているため,気管支喘息,咳喘息などを考えた.喘鳴のエピソードがないため典型的喘息とはいえず,気道過敏性が亢進していることより,アトピー咳嗽よりは咳喘息と判断し,気管支拡張薬を使用し咳嗽の軽減を認めた.ただ,症状の改善が十分でなかったため,吸入ステロイドとしてプロピオン酸ベクロメタゾン換算400μg/日を追加したところ,完全に症状が改善した.
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