特集 からむ痰,うっとうしい咳
【診断】
喘息・咳喘息・アトピー性咳嗽,どこが違う?
久米 裕昭
1
,
牧野 靖
1
1名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器内科学
キーワード:
慢性咳嗽
,
気道過敏性
,
咳感受性
,
好酸球性気道炎症
,
β2刺激薬
Keyword:
慢性咳嗽
,
気道過敏性
,
咳感受性
,
好酸球性気道炎症
,
β2刺激薬
pp.30-33
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101598
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Case
典型的な咳喘息の一例
患者:36歳,女性.
既往歴・家族歴:特記すべきことなし.
喫煙歴:なし.
現病歴:3カ月前より,乾性咳嗽が持続的に継続している.喘鳴,呼吸困難感はなく,鼻汁,鼻閉,胸やけなどもなかった.1カ月前に近医を受診したところ,感冒といわれ鎮咳薬を処方された.しかし,症状が改善しないため当院を受診した.来院時,胸部聴診上wheezeは聴取しなかった.胸部X線写真,肺機能検査,血液検査に異常所見はなかった.吸入短時間作用性β2刺激薬を処方したところ,2週間後の受診時に咳は著明に減少していた.気管支拡張薬が有効であったので,治療的診断として咳喘息と判断した.診断をより確かなものにするためアセチルコリンの吸入による気道過敏性試験を行ったところ,5,000μg/mlの濃度で1秒量が20%以上低下した.さらに,高張性食塩水の吸入による誘発喀痰検査を行ったところ,喀痰中の好酸球比率は5%と軽度上昇していた.以上の結果より,咳喘息と確定診断した.
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