特集 長引く咳
[慢性咳嗽各論]
咳と耳鼻科疾患
飯島 克巳
1
1いいじまクリニック(内科・小児科・心療内科)
キーワード:
後鼻漏
,
鼻茸
,
副鼻腔気管支症候群
,
透光性試験
Keyword:
後鼻漏
,
鼻茸
,
副鼻腔気管支症候群
,
透光性試験
pp.1018-1020
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100750
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Case
鼻茸を伴う副鼻腔炎であった慢性咳嗽
患 者:52歳,男性.会社員(コンピュータ業務).
既往歴:アレルギー性鼻炎,薬剤使用による異常反応(-),喫煙(-),晩酌は缶ビール1本/日.
家族歴:母が気管支喘息.
現病歴:3週間前に37.5℃くらいの発熱があり,乾いた咳と透明な鼻汁が出るようになった.発熱から3日目に近くの内科を受診したところ,かぜとの診断で,クラリス(R)(200 mg)2錠/日とコルドリン(R)(12.5 mg)6錠/日を4日分処方された.指示どおり服薬したが病状はかえって悪化し,38℃台の発熱が出没するようになった.黄色い痰を伴う咳や黄緑色の鼻汁,頭痛,激しい咳も現われた.2週間前に再度同内科を受診したところ,急性気管支炎と診断され,セフゾン(R)((100 mg)3cap/日,ムコソルバン(R)(15 mg)3錠/日,メジコン(R)(15 mg)6錠/日の内服治療を受けた.服薬をし終えると発熱は37.2~37.3℃となったが,相変わらず激しい咳とズキズキする頭痛が続いている.両側の鼻づまりがひどく,物の臭いがわからなくなり,1日数回の黄色い鼻汁の排出があるため,今度は耳鼻科を受診した.
耳鼻科での診療経過
患者はこれまでも,両側の鼻閉で悩まされることがあり,とくに右側で強いということであった.口腔所見では,咽頭後壁に黄色く後鼻漏(J1)が認められた.鼻腔所見では,両側に軽度の発赤と,右側中鼻甲介の部位にφ10 mmの鼻茸が認められた.X線写真では,両側の上顎洞部の辺縁が肥厚しており,下部(とくに右側)でのX線透過性が悪い(図1).
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